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科学者の眼(41)
0から始めるか、1から始めるか?

  安村 通晃 慶應義塾大学環境情報学部名誉教授

 あの「あまちゃん」も終わってしまった。筆者も久しぶりに朝のドラマを見続けた。東北(特に岩手)の人にとって、これがひとつの大きな励みとなってくれることを願っている。

 ところで9月25日放送の「あまちゃん」で、鈴鹿ひろ美が「潮騒のメモリー」を歌うシーンが出てくるが、歌詞の一部をアレンジし、「3代前のマーメイド 親譲りのマーメイド」と歌っていた。これは、あきちゃんからみておばあちゃんの夏バッパを指すと思われるので、ここは「3代前」ではなく「2代前」のはず、と感じた人も多かったのではないか、と思われる。

 さて、日本(とアメリカ)では、建物は1階、2階、3階、...と数えていくが、ヨーロッパでは、地上階、1階、2階、...と数えていく。つまり、日本の2階がヨーロッパでは1階で、日本の1階は0階扱い(英国では、グランドフロアなどと呼ぶ)になっている。また、年号は 1, 2,.. と続いて、100, 101, ....となり、101年で2世紀となる。つまり、2000年はまだ20世紀で、2001年になって初めて21世紀となる。(年号が0から始まっていれば、ちょうど1999年で20世紀が終わり、2000年からは、21世紀となって分かりやすかった。いや、もっと言えば、0世紀、1世紀と数えていけば、1999年は19世紀、2000年は20世紀と、さらに分かりやすくなったはずである。)

 さらに数え年では、生まれた時が1歳であり、次の元旦がくると、さらに1歳が加算される。49日を言う場合にも、亡くなった日を1日目と数える。ただ、満年齢では0歳から始め、また、お七夜も生まれた日は0日目としている。

 ちょっと変なのが、時間である。夜は午後12時と言わずに「午前0時」という。ところが正午は、午後0時でも午前12時でもなく、「午後12時」という。これは、正午を過ぎたら「午後」と11時の次が12時とが合わさった考え方で、ふだんはこういう言い方をしてしまっているが、よく考えると変だ。時計の表示が0から始まるのではなく、1から始まり12で終わるようになっているのが、問題の根源のようだ。本当は「午後0時」と呼びたい。

 では、ICT(情報通信技術)の世界ではどうだろうか? 近くにある電卓のボタン配置を見てもらいたい。左下から、0, 1, 2, ... 9と並んでいる。一方、電話機のボタン配置はというと、左上から、1, 2, 3, ..., 9, 0 と並んでいる。つまり、電話機の0は、10の意味なのだ。これは、昔、電話機がダイヤルパルス式と言われた頃の名残である。つまり、1でパルス1個、2でパルス2個、.... で、0はパルス10個を送り出していた。パルス0個は信号として検知できないからだ。また、プログラミング言語での配列の添字(インデックス)は1から始まるものと0から始めるものとがある。慣れを除けば、0から始める方が都合が良いことが多い。

 こういったことは、文化的習慣である場合が多く、その変更はなかなか難しいが、できるだけ合理的なやり方で決めるのが良さそうである。

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