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科学者の眼(20)
メディアの変遷(うつりかわり)

  安村 通晃 慶應義塾大学環境情報学部教授

 
 ラジオやテレビなどのマスメディアから、パソコン、DVDのようなパーソナルメディアへ、あるいは、レコードや銀塩カメラ、アナログ放送のようなアナログメディアから、CD、DVD、デジカメ、地デジのようなデジタルメディアへと、世の中少しずつ変化している。それぞれ、ほこりやエラーに強いとか、解像度が高くなるなどの理由はあっても、大きな流れは変わらないように見える。

 ただ、同じデジタルと言っても、パソコン用の外部メモリ一ひとつとっても、かつてのフロッピーディスクはもはや姿を消し、USBメモリ、SDメモリなどへと変化は著しい。また、USBメモリやSDメモリなどの容量増大と価格低下は著しい。ハードディスクドライブ(HDD)に比べて、まだ価格は高いものの、アクセス性能の高いSSD(半導体ドライブ)は容量の増大とともに、これを内蔵するPCも出回り始めている。

 さらに、インターネットの利用やサービスを見ると、単に、検索をして見るという受動的な立場から、ユーザが積極的に,コンテンツを作り発信する、いわゆるWeb2.0 的なサービスが急激に広まりつつある。写真をアップして閲覧するFlikrなどのサービス、動画をアップして閲覧するYouTubeやニコニコ動画など。さらに、個人のブログ(Web日記)や、人と人とでブログや情報を交換し合えるmixiなどのSNS(ソーシャルネットワークサービス)。ブログの利用者は、2500万人を越えており、男女比はほぼ50%ずつほどである。ふつうにWebを書くのに比べて、圧倒的に簡単に書けてしまえることが特徴である。タレントや政治家などの有名人の利用も多い。SNSの方も、mixiの場合、利用者が1600万人を越えるところまで来たが、ここに来て、飽きられたのか、少し実際の利用者が減ってきている。SNSの最大の特徴は、人と人の繋がりと言うことである。最近、利用者をさらに増やすために、mixiアプリを簡単に作れる仕組みを作り、これにより利用者離れを防ごうとしている。

 替わって登場したのが、Twitterである。マイクロブログとも言われるTwitterは、140字以内でつぶやくだけという、誠に手軽なしかけであるが、手軽ななだけに、誰でもがつぶやくこともできるし、見る(フォローするという)ことも簡単だ。Twitterの利用者は,現在日本では約200万人くらいと言われている。男女比も、男性がやや多いが,女性もこれに迫る勢いだ。Twitterも、ふつうでは生で聞けない有名人のつぶやきを直接聞けことのほかに、中国四川大地震の後の余震情報やイランの大統領選、ハイチの大地震の現地情報などが、直接入ってくることの意義は大きい。

 クリエイティブコモンズで有名なスタンフォード大学のレッシグは、人の行動や社会秩序をコントロールするのは、規範(慣習)、法律、市場(マーケット)、アーキテクチャの4つだと述べているが、最近のネット上のさまざまなサービスの利用の仕方は、この最後のアーキテクチャに依存することが多い。疑似同期性を有するニコニコ動画は日本生まれであり匿名性が特徴だが、ブログやTwitterなど米国生まれのソーシャルメディアは、どちらかというと実名主義に限りなく近い。

 いくつもの新しいメディアが登場し、それに人が群がり、やがて安定状態に落ち着くのか、さらに増え続けるのか、逆に廃れてしまうのか、そういったサービスが人々にどういう意味合いを与えるかによって、変わってくるものと思われ、今後も眼が離せない。新しいサービスに乗るか、傍観者でいるか、まさに踊る阿呆と見る阿呆の世界が続く。


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