PORTAL TOKYO
  デル株式会社

科学者の眼(14)
論理的と恣意的

  安村 通晃 慶應義塾大学環境情報学部教授


  世の中、論理的なことと恣意的なことが混在していることがよくある。言葉は恣意的なものと考えられているが、では、時間はどうだろうか?1週間はなぜ7日なのか、曜日はどうして日月火水木金土になったのか、1日はなぜ24時間か、1ヶ月はなぜ30日位なのかなど、時間や暦に関しては不思議なことが 多い。
  根拠となるのは、月と地球と太陽の動き。まず、月の満ち欠けは、新月→上弦の月→満月→下弦の月→新月と考えると、おおよそ、それぞれほぼ7日で変化する。すると、1週間は7日と考えると具合が良い。また、1日とか1年の時間を考えるには、できるだけ割り切りやすい数を考えると、12とか60とか言う数が便利だと分かる。たとえば、1ヶ月を30日として1年は12ヶ月とする。また、1日は昼と夜とで、それぞれ12時間ずつと考えると割り切りやすい。12は、2でも3でも4でも6でも割りきれる数だからだ。
  このあたりまでは、かなり論理的。細かい話をすれば、1ヶ月は月の満ち欠けの1周期なので30日ではなく、正確には29.5日ぐらいなので、少しずれるとか、地球が太陽を回るのも360日ではなく、365.2422日なので、やはり少しずれるとかあるが、その話は置いておこう。
  面白いのは、曜日が、なぜ月火水木金土になったかという話。これは、昔は地球から遠い星ほど地球に対する影響が大きいと考えられた。そこで、水金地火木土の逆順で、土木火日金水に最後に月がつく順になる(地の替わりに日が入ったことに注意)。これを土曜日を午前1時として、順に1時間ずつ埋めていくと、+24時間(丸1日経つと)が、「土」の次が「日」となる。さらに続けていくと月、火、水、木、金、となると言うわけだ。ここまでも、まあまあ納得できる。
  ところが、月の決め方となると、これがかなり恣意的というか、勝手な決め方。昔のローマ時代の暦(ロムルス暦)では1年は10ヶ月でMarchから始まっていた。第1月から第4月まではローマの神の名前が、また、第5月から第10月までがラテン語の数字が当てはめられた。これにローマ王のユマが、第11月として Januariusと第12月のFebruariusを追加した(ユマ暦)。紀元前153年に、Januariusは「門の神」なので、1年の最初に来るべし、として、これが新年の始めとなった(改訂ユマ暦)。この辺から、かなり恣意的。
  この後、ローマ皇帝のカエサルとアウグストゥスは、それぞれ7月と8月の名前を自分の名前、JuliusとAugustusに変えてしまった。さらに、アウグストゥスは、当初29日だった8月に、2月から2日をもってきてくっつけたので、それ以降、2月は28日に、8月は31日なったらしい。
  ここまで来ると、暦の決め方は相当恣意的だということも分かる。

「科学者の眼」indexページ
Copyright©2008 PortalTokyo.Inc. All rights reserved.