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科学者の眼(2)
コンピュータ用語の起源
 安村通晃 
慶應義塾大学環境情報学部 教授


  コンピュータ関連の言葉は、初めての人にとっては取っつき難く、分かりにくいものが少なくない。そもそも、新しい概念を表わすのだから、難しいのは当たり前と言えば、当たり前なのだが。
 コンピュータ用語の起源をたどると、その多くは、基本的な用語の合成語か、これまで使われていた言葉の転用かのいずれかであることが多い。言葉の転用を専門的に言うとメタファーということになる。
  たとえば、イーサーネットのイーサー(Ether)とは、エーテルのこと。昔光は真空中をたどるのではなく、エーテルという物質上を移動すると考えられてきた。そのことにひっかけて、光の方にあまねく情報を伝達する媒体として、エーテル/イーサーと名付けられた。
  インストール(install)は、元々は、ストール(馬小屋)に馬を入れてつなぐことから機械を設置する意味で使われていたが、コンピュータでは、ソフトウェアをシステムに組込みことを言う。
  また、パソコンの基盤のことをマザーボードという。母のように他の部品を載せる母体という意味である。マザーボード上に装着してある小型の基盤をドーターボードという。いずれも女性のアナロジーであるところが面白い。
  コネクターには、出っ張っている側と引っ込んでいる側とがあるが、前者をオス(male)、後者をメス(femele)と呼ぶ。オス同士、メス同士はつながらず、必ずオスとメスをつなぐ 必要がある。オス同士をつなぎたいときには、オスメス変換のジェンダーチェインジャーを途中に入れる必要がある。直訳すれば性転換子か。
  検索サイトのヤフー(Yahoo)はこのサイトを作った二人が、ガリバー旅行記に出てくる馬の国のヤフーとよぶ野蛮人になぞらえて命名した。それほど深い意味はなく、単なる気まぐれだと思われる。
  合成語の例はたくさんあるが、たとえば、最近流行りのブログ(blog)は、Web+log、すなわちWeb上のログ(日記)と言う意味である。
  あるいは、USBはUniversal Serial Busの略で、SDメモリはSecure Digital memory の略だが、こういうのは元が何というのかが分かってもあまり役に立たない。できるだけ、実物を見てもらうしかない。

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