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科学者の眼(60)
ゲームのルール

  徳田 雄洋 東京工業大学名誉教授


 私たちは時々以下のようなポイント増減ゲームのルールを説明されることがある。果たしてこれらのゲームは公平だろうか? 2つのゲーム例で考えてみたい。

 1番目のゲームはランダムゲームである。あなたは現時点で手持ちポイントが20ポイントある。もし手数料10ポイントを出せば、このランダムゲームに参加できる。ランダムゲームでは1単位時刻ごとに1回、等確率で出現する 数字0か1の1つを選ぶ。1なら10ポイント増え、0なら10ポイント減る。つまり確率1/2で10ポイント増え、確率1/2で10ポイント減る。手持ちポイントが0ポイントになったらゲームは異常終了で、途中退場となる。手持ちポイントが30ポイントになったらゲームは正常終了である。あなたはこのランダムゲームに参加して大丈夫だろうか?

 2番目のゲームは予言ゲームである。2人のうち1人が偶数側、残りが奇数側となる。2人は0と1のカードを持っていて、毎回どちらか1枚を同時に出す。カードの数字の和が1なら奇数側の勝ちで、3ポイントを奇数側が得て、偶数側が失う。和が0または2なら偶数側の勝ちとなる。和が0なら、2ポイントを偶数側が得て、奇数側が失う。和が2なら、4ポイントを偶数側が得て、奇数側が失う。あなたはこの予言ゲームに参加して大丈夫だろうか?

 まず1番目のランダムゲームについて検討する。参加すると手持ちポイントは参加前の20ポイントから10ポイント減り、10ポイントになる。この開始時点から1回目の機会で、1/2の確率で0ポイントになって途中退場となるか、1/2の確率で20ポイントになる。後者の場合、2回目の機会がある。ここから1/2の確率で10ポイントになって開始時ポイントに戻るか、1/2の確率で30ポイントになって正常終了する。したがって途中退場になる確率は1/2+1/8+1/32+...で、正常終了になる確率は1/4+1/16+1/64+...である。以上から途中退場になる確率は2/3で、正常終了になる確率は1/3とわかる。もし多数の人、例えば3000人参加者がいるとすると、2000人は手持ち0ポイントで途中退場となり、1000人は手持ち30ポイントで正常終了となる。つまり多くの人々は開始前の20ポイントから20ポイント全部失い途中退場となり、一部の人々が開始前の20ポイントから10ポイント増やして正常終了となる。このゲームは参加者全員の期待値で考えると、参加前に比べて10ポイントを失うゲームである。

 2つ目のゲームについて検討する。このゲームは一見公平に見える。カードの対戦4通りのうち、2通りの場合でそれぞれ、奇数側は3点と3点を得て、偶数側は2点と4点を得るからである。しかしながらこのゲームは多数回行うとすると、奇数側が有利で、偶数側が不利なルールである。すなわち奇数側は0を7/12の割合で、1を5/12の割合で出すと、偶数側が0を出した場合の期待値を+1/12ポイントに、さらに偶数側が1を出した場合の期待値も+1/12ポイントにできる。つまり偶数側がどのような割合で0と1を出しても、奇数側は1回分の期待値を正の値である+1/12ポイントにできる。この予言ゲームは不公平なゲームである。

 これらのゲームには参加しない方がよさそうである。

 

     
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