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科学者の眼(45)
希望しないものを3人で分ける方法

  徳田 雄洋 東京工業大学大学院教授


  人間は、同じものを見ていても、ありがたがる人やありがたがらない人など、人さまざまである。時々、複数の参加者全員で、希望しないものや嫌いなものを、なんとか公平に分けなれればならないという状況が発生する。例えば、有名シェフのレストランに行った3人が、シェフおすすめの一皿を注文したところ、3人の嫌いなレバー、セロリ、トマト、ブロッコリーを調理した大皿料理が出てきた。3人は失礼のないようなんとか全部食べなければならない。

 3人の各食材に対する嫌いの程度(やや嫌い、嫌い、とても嫌い)はさまざまとする。仮に、好ましいものの程度は価値と呼び、好ましくないものの程度は迷惑値と呼ぶことにすると、各自はそれぞれの主観的基準で、大皿料理全体の迷惑値の1/3以下なら食べてもよいと考えている。一体どのように3人で分けたらよいだろうか?

 まずは、この料理を1番目の人と2番目の人で、自分の分が全体の迷惑値の1/2以下と感じるように分けてみる。 そのためには、次のようにすればよい。まず、レストランの人に新しい中皿を、2枚持ってきてもらう。1番目の人が、大皿料理全体を自分の基準で迷惑値がちょうど1/2ずつとなるように、2枚の中皿に分ける。次に2番目の人はその2つの中皿料理の中で、自分の基準で一番よいと思う方を選ぶ。そして1番目の人は残りを取る。これで2人は自分の基準で迷惑値が1/2以下と感じる中皿料理を受け取ることができた。

 次に3番目の人への分割手順を考えてみよう。今度はレストランの人に新しい小皿を6枚持ってきてもらい、1番目と2番目の人に3枚ずつ渡す。そして、1番目と2番目の人は、それぞれ自分の中皿料理を迷惑値がちょうど1/3ずつとなるように、3枚の小皿に分ける。3番目の人は、1番目・2番目それぞれの人から、一番よいと思う小皿料理を1つずつもらう。そして1番目と2番目の人は、残った2つの小皿料理を、自分の分とする。これで3人は自分の基準で、迷惑値が全体の1/3以下と感じる分の料理を受け取ることができた。

 この方法は、皆が希望するものを3人で分ける場合にも同様に使うことができる。その場合は、3人全員が自分の分を全体価値の1/3以上と感じることができる。

 どうやら、おまかせ料理の一皿は注文せず、食べ物の好き嫌いはない方がよさそうである。

 

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