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科学者の眼(1)

人間の思い込みとコンピュータ
 徳田 雄洋 
東京工業大学大学院教授

 コンピュータは、人間の日常的なものの見方が思い込みに過ぎないことをしばしば教えてくれる。コンピュータが出現してしばらくした頃、英語の文を解析させた人々はびっくりしてしまった。"Time flies like an arrow."というよく知られた文を解析させたのに「時間は矢のように飛ぶ。」 と「矢のようなハエの速度を計測せよ。」と「トキバエは矢が好きである。」という3通りの解釈が出てきたのである。
 このようにコンピュータの側に立って、日常の文を眺めて行くと、日本語の普通の文にも何通りもの解釈があることにびっくりさせられる。例えば「私は緑色の目の大きな宇宙人の女の子に会った。」という文は、目と体のどちらが緑色か・大きいかという最大3通りの性質を考え、少女の話なのか、女とその子供の話なのか、誰がその性質を持っているのか、と考えていくと、なんと11通りもの解釈が出てきてしまう。
 しかし我々はふだん1通りか2通りの解釈程度しか意識していないのである。

参考
1 <女の子   目が緑色、目が大きい>
2 <女の子   目が緑色、体が大きい>
3 <女の子   体が緑色、目が大きい>
4 <女     目が緑色、目が大きい>+<子>
5 <女     目が緑色、体が大きい>+<子>
6 <女     体が緑色、目が大きい>+<子>
7 <女>+<子 目が緑色、目が大きい>
8 <女>+<子 目が緑色、体が大きい>
9 <女>+<子 体が緑色、目が大きい>
10 <女 目が大きい>+<子 体が緑色>
11 <女 体が大きい>+<子 目が緑色>

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