PORTAL TOKYO
  デル株式会社


科学者の眼(64)
プログラムを食べよう

  川合 慧 放送大学教授


  江崎グリコ社がグリコードという仕掛けを作っている.同社の製品であるポッキー(棒状),ビスコ(長方形),アーモンド(楕円形)などを決められた方法で並べ(プログラム),それをスマホで撮影する(ロード)と,スマホ画面上でクマのようなキャラクター(ハグハグ)がプログラムの指示どおりに動く(実行),という流れとなる.問題を指定するとハグハグが動くべき場所が現れるので,その上でどのように指定すればゴールに着けるかを考える.

 その様子は次の二つの図で見てほしい.女の子はゴールを,樹木は障害物を,それぞれ示している.



  基本動作は次のような具合.
   ビスコ(横)→1マス飛び越える
   ビスコ(縦)→1マス飛び上がる
   ポッキー(縦・横)→チョコ部分の方向に1マス進む
   ループ(図参照)
  手順としては,
   問題を見て考える,お菓子を並べる,ロードして実行する,
   成功したらお菓子を食べる
となる.ネット上にはいろいろ試した結果があるので参照して欲しい.

 今年の3月に新しい学習指導要領が公示された(施行は平成32年より).その中の小学校版には,次のような一節がある.
ア 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動
イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
  ここで目につくのは「プログラミング」という言葉である.この一語から「小学生にコンピュータ用のプログラムを作らせるのか」という議論が起こった.これまでは,高等学校の教科「情報」でもコンピュータプログラミングはほとんど教えられていないのに,である.

 これに対して学習指導要領では上記イの中の「必要な論理的思考」に触れさせるのが主な目的であるとしている.また,この内容は独立した教科ではなく,国語,社会,算数といった各教科の中や総合的学習の時間で取り扱うことになっている.

「小学生からは早すぎる」とか「どうやって教えるのか」といった議論が進行中である.さて,グリコードがプログラミングの導入としてどうかについては様々な意見がある.手がべたべたする,画像認識が弱い,菓子を食べ過ぎる,などの声もあるが,押しなべて好評のようである.プログラミング的思考が菓子とともに養われることを望むばかりである.

 

「科学者の眼」indexページ    
Copyright©2017 PortalTokyo.Inc. All rights reserved.