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科学者の眼(49)
つなぎ方の公式

  川合 慧 放送大学教授


  先日,新聞で以下のような小学校の理科の授業の記事を読んだ.
  2個の電池を並列につないで1個の豆電球を光らせている時,片方の電池につながっている電線を1本外した.電球の光り方はどうなるか(図1).

  ・明るくなる
  ・暗くなる
  ・変わらない
  ・わからない

 

  最初に「アンケート」を取り,議論をさせてから再び質問をする,というやり方らしい.議論の過程で電球が光る原理に導こうという指導であろう.この場合,最初は「暗くなる」が圧倒的に多いが,最後にはほぼ全員が正解である「変わらない」に落ち着くという.

 電池と豆電球の基本は,2本の電線を使って,電池のプラス極とマイナス極とを豆電球の側壁と尻尾につなぐやり方である.ここではこれを基本つなぎと呼ぶことにしよう(図2).いわば,電池と豆電球の公式である.実際に実験をやれば豆電球は点灯するが,それで物事の仕組み(原理)を会得できるかというと,そうでもないことが多い.たとえば図1の電線を外すとその電池は電流を流さなくなり,回路的には無いのと同じで,残りが基本つなぎになる.だから・・・というのが本来の議論である.このように理解の基礎となる基本つなぎであるが,その公式を頼りにしすぎると理解が停止してしまう.試しに,電線が1本しかない時にどうするか,と質問すると理解の度合いが判明する.もちろん,電線を切って2本にするというトンチは禁止である(図3).

   

 今度は,2個の電池と4本の電線を使って2個の豆電球をつけてみよう.これは簡単で,先ほどの基本つなぎを2組作ればよい(図4).

  
  それでは,この材料を使って他のつなぎ方はないであろうか.基本つなぎの形だけで原理には思い至らない理解をしていると,「他」を考え付くのはなかなか難しい.これは読者の練習問題としておこう.

 

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